2026年度春学期開講の「キャリアデザイン入門Ⅱ」産学連携PBLクラスでは、シンエーフーヅ株式会社代表取締役社長の宮内氏、株式会社たけでん人事総務統括部人事部課長の岡村氏をお招きし、学生に課題を提示していただいた〔2026年5月11日(月)〕。
まず、シンエーフーヅ株式会社の宮内氏からは、「どうなる?食料品消費税ゼロ公約」をテーマとする課題が提示された。現在、軽減税率が適用されている飲食料品について、2年間に限り消費税をゼロ税率とすることについて、実現に向けた諸課題の検討が進められている。現行の軽減税率制度では、酒類・外食を除く飲食料品が軽減税率の対象であり、外食やケータリング等は対象に含まれない。課題では、飲食料品の購入やテイクアウト、デリバリーの税負担が軽くなる一方、外食の消費税率は10%のまま据え置かれるという想定のもと、消費者の外食需要が減少する可能性が示された。こうした状況において、外食ビジネスを営む企業がどのように生き残るべきかを考えることが学生に求められた。
続いて、株式会社たけでんの岡村氏からは、「地域活性化につながるデザインリノベーション」が課題として提示された。現在の日本の住環境インフラをめぐっては、東京一極集中による地方の人口減少、若者の就労希望者の減少や建設業就業者の高齢化による職人の後継者不足、高度成長期以降に整備されたインフラや商店街・学校・旅館などの老朽化が課題として挙げられた。これらを踏まえ、活性化させたい地域を選定したうえで、電材・住建材商材を用いた空間リノベーション、またはインバウンド事業を切り口とする空間リノベーションの提案が求められた。
学生にとって、実社会の課題に取り組むことは決して容易ではない。しかし、企業の方々から寄せられた、若い世代ならではの提案を楽しみにしているという期待の言葉を励みに、学生はそれぞれの視点からアイデアを出し合い、約1カ月後の課題解決発表会に向けて検討を進めた。
課題提示の様子
受講生による課題解決発表会が開催された〔2026年6月22日(月)〕。受講生は2つの課題に協力して取り組み、その成果をまとめて発表した。
シンエーフーヅ株式会社の課題に対して、学生は外食産業全体の対応と、各飲食店舗で実施できる工夫の両面から提案を行った。
まず、外食産業としての対応策として、デリバリーやテイクアウトに用いる容器の有料化を提案した。容器代金を回収できるだけでなく、「料理代」と「容器代」を分けて示すことで顧客の納得感を得やすくなり、環境意識の高まりにもつながると考えた。
次に、店舗ごとの対応として、「各飲食店に応じたおかわり制度の導入」「店の雰囲気や空間の提供」「ターゲット層を絞ったコンセプト作り」の3点を挙げた。たとえば、男性や学生の利用が多い店舗では、リーズナブルなおかわり制度を導入することで顧客を誘引する。提供量をグラム単位で調整できる仕組みや、店舗の業態に合わせた事前課金制・残量に応じたルール設定、曜日限定サービスなどを組み合わせることで、リピーターの増加やフードロス削減も期待できるとした。
また、税率の安いテイクアウトではなく、あえて店舗で食事をしてもらうためには、そこに行かなければ味わえない雰囲気や空間づくりが重要であるとした。住宅街の店舗であれば、子ども用メニューや遊べるスペースを設け、子育て世代が利用しやすい場をつくる。駅周辺の店舗であれば、一人でも気兼ねなく利用できる席を設け、学生や社会人が仕事や授業の合間に使いやすい利便性を高める。このように、立地や顧客層に合わせて店舗のコンセプトを明確にすることで、外食需要の減少を抑制できるのではないかとまとめた。
学生は、飲食店を「ご飯を食べるだけの場所」としてではなく、顧客の生活をより便利で楽しくする場所として捉え直すことを提案した。来店そのものをエンターテインメント化し、店舗で過ごす時間や空間に価値を持たせることが、今後の外食需要を支える鍵になると考えた。
宮内氏からは、飲食店がターゲット層に合わせたサービスを提供することにより、外食需要の減少を抑制するという内容であり、今後の外食産業にとって参考になるアイデアとして検討できるとのコメントがあった。
シンエーフーヅ株式会社の課題に関する学生発表の様子
株式会社たけでんの課題に対して、学生は熊本県の菊陽町・大津町、特に原水駅周辺を対象地域として選定した。半導体関連産業の進出により注目が集まる地域である一方、人口減少や労働者不足が課題であるとした。
学生は、車社会であることが、車を持たない若年層にとって移住や定住のハードルになり得る点に着目した。また、原水駅について、改札が1つであること、駅員がいないこと、駅周辺に案内や時間を過ごせる施設が少ないことなどを課題として挙げた。
その解決案として、駅を中心とした大型商業施設、たとえば「ららぽーと」や「イオン」のような駅直結型ショッピングモールの設立を提案した。これにより、車を持っていなくても買い物や飲食店の利用が容易になり、若年層や働く世代にとって暮らしやすい環境が整う。さらに、集客効果、生活水準、人口密度の向上にもつながり、将来的に移住しやすいまちづくりに寄与するとまとめた。
岡村氏からは、データに基づく説得力のある内容であったとの評価を受けた。また、若者が暮らしたいと思うような場をつくるアイデアについて、大学生ならではの視点でさらに掘り下げるとよいとのコメントをいただいた。
株式会社たけでんの課題に関する学生発表の様子
今回の発表では、学生たちが企業から提示された課題に対し、限られた条件のなかで何ができるのかを考え、解決策として形にしようとする姿勢が印象的であった。外食産業をめぐる課題では、価格や税率だけでなく、来店することの楽しさや店舗空間の価値に目を向けた提案が行われた。また、地域活性化の課題では、交通や生活利便性に着目し、若者や働く世代が住みやすい環境づくりを考える提案がなされた。
いずれの提案も、課題を一面的に捉えるのではなく、利用者や地域住民の立場を想像しながら考えようとしていた点に意義がある。PBLで得られる学びは、課題解決案そのものだけではなく、課題を読み解き、仲間と意見を交わし、相手に伝わる形へ整理していく過程にもある。今回の経験を、今後の学びや社会との関わりのなかで生かしていくことを期待したい。
本学では今後も「産学連携PBL」の取り組みを通じ、実社会で活躍できる人材の育成に取り組んでまいります。




































































