2019年度後期において、松本 治非常勤講師担当の「キャリアデザイン入門Ⅱ」(産学連携PBLクラス)ではシンエーフーヅ株式会社の宮内 賢二氏、税理士である杉本 篤史氏をお招きし、課題提示イベントを開催しました。〔2019年11月11日(月)〕
神戸にある外食産業のシンエーフーズの宮内氏からは、「仕事未来予想図を考察する」と題した発表の中で、外食産業の地位向上と今後も社会に貢献し、進化、発展し続けるために取り組むべきことおよびその理由を述べよ、という課題が出されました。
一方、杉本氏からの課題は、消費税が10%に上がる中、日本の税制、税金は公正・公平に徴収されていると思うか、あるいは国民・市民の税金に対する関心・意識を高めるためにはどうすればよいと思うか、という課題が提示されました。これらの課題に取り組んだ受講生の発表会が12月16日(月)に実施されました。
シンエーフーヅ株式会社の宮内氏
杉本氏からの課題提示
1つ目の発表は「外食産業を人気にするため~アルバイトを社員へ~」と題し、学生4名による発表が行われました。このグループのユニークなところは「アルバイトを社員にしたら」という結論を1番目のスライドに持ってきたことで、新規採用よりもコスト削減につながり、アルバイトの実績を評価し、削減できたコストで新メニュー開発などに投資ができると提案しました。また、外食産業が、大学生にとって人気がない理由として、アルバイトはするが、卒業後の仕事として外食産業を選択しないのは、「やりがい」「個性の発揮」につながりにくい職業であると考察します。外食産業の仕事が「魅力がある仕事」であり、自己成長につながるように、①店舗ごとの限定メニューの作成、②成果を出したスタッフに称号を与える、③本社からのミッションに対して店舗ごとに競うことの3点を提案しました。そして、それぞれのメリットを丁寧に分析し、自分たちの提案の妥当性を説明しました。賃金を得るだけの労働ではなく、自己成長や個性の追求のために働くといったグループの学生たちの職業観を感じました。
シンエーフーヅの宮内氏は、他業種に比べて利益率が低い、外食産業は軽減税率の対象にならないなど、人口減少に伴う市場規模の縮小と働き手不足等の課題を抱える外食産業ではあるが、職業選択先として外食産業を選択してもらえるよう、学生たちの発表を参考にして、社会の変化に応じて、その魅力を追求していきたいと講評されました。
2つ目は「納税意識の問題と解決策」と題した、学生5名による発表です。日本人の納税に対するコンプライアンス意識はOECD諸国の中でも高い方であるデータを示しました。しかし、一般に納税意識が低い原因については、①初等教育で詳しく学ばない、②消費税が低いから、③源泉徴収制度の3点を挙げ、納税意識が低いと税に対する関心や理解度が低くなり、財政問題に関心を持つ国民が減ることを懸念しました。また、税の負担を減らす方策として、関心の高い「軽減税率」を取り上げ、メリットとデメリットを考察しました。消費税が他国に比べ低い現状から日本も将来高くなることを予測し、それに伴いキャッシュレス決済の普及にも言及。現在の間接税である消費税を、スマホを活用したユニークな「消費税貯税」とする方式を提案するとともに世界の税に考えを巡らし、ブルガリアの独身税、アメリカの光るおもちゃ税を紹介しました。新しい税の提案では、外国人観光客が増えていることを考慮し、免税額の条件を現状の5000円から8000円に引き上げることも提案しました。税についての考察を分担して調べた結果、パワーポイント47枚におよぶ大作になりました。
杉本税理士は若者の税に対する感覚と考えを知ることができ、新鮮でしたと講評。また、税理士として年に数回小学校で児童・生徒に税の話をして啓発活動に取り組んでいると言及しました。