2019年度前期において、松本 治非常勤講師担当の「キャリアデザイン入門Ⅱ」(産学連携PBLクラス)では、神戸ハーバーランド株式会社の総務課の牧瀬 修氏とプロデューサー谷尾 逸人氏、大阪日日新聞社の記者である畑山 博史氏を迎えて、5月13日(月)に課題提示イベントが開催された。
神戸ハーバーランド株式会社からは「神戸ハーバーランドのPR策・来街促進案」が提示された。また、大阪日日新聞記者である畑山氏からはインターネットTVの到来による「どうしたらテレビ業界は立ち直れるか? 再び、皆に見てもらいたい」が提示された。
2019年7月1日(月)に開催された課題解決発表会では、神戸ハーバーランド株式会社からの課題に3グループ、今後のメディアの在り方をテーマにした「どうしたらテレビ業界は立ち直れるか? 再び、皆に見てもらいたい」の課題の解決案が2グループから発表された。
5つの課題解決案の発表の中から、今回は神戸ハーバーランドのPR策をテーマにした「ハーバーランドに求めるもの」とメディアの今後のかたちを考える「~TV離れを回避するには~」の2グループの発表を取り上げる。
「ハーバーランドに求めるもの」
情報学部平野君、ホスピタリティ経営学科の岩井君、丸山君、岡村君達の4名は情報収集のため、実際に神戸ハーバーランドを訪れ、その現状を述べる。「閑静な住宅街で落ち着いた雰囲気があり、最寄り駅から歩いて数分のところにある。」と交通の利便性を挙げる一方、「どこまでの範囲をハーバーランドと呼ぶのかが分からなかった。」、「若者を呼び込む施設がなく、ショッピングモールなどはあるが国道2号線が邪魔をしている。」と振り返る。そして、神戸ハーバーランドのあるべき理想像を次のように語った。外国人観光客から県民・近隣住民にターゲットを移し、遊園地などの目玉施設を作るなど、経済を循環させる。」そのための課題として、「アンパンマンミュージアムがあるが若者世代をターゲットにしたレジャー施設などがない。」、「南京町から人が流れてこない。」を列挙し、その結果、「外国人観光客が関西空港を利用することが多いので奈良や京都に人が流れてしまう。」と指摘する。
神戸ハーバーランドのPR策として、「アンパンマンミュージアムだけだと主に休日か長期休暇にしか子供連れが訪れないので、収益が安定しない。そこで365日安定した施設を作る。」、「例えば競艇場などは365日開催で1日中開催のため長期滞在が見込まれる。」ことや、「南京町から人を流せるようにシャトルバスなどを運行させる。」ことを提案した。発表のまとめとして、「他県の特産品を一堂に集めたイベントとか、ハーバーランドでしかできないような特別なイベントを開催する。」、「訪れる人が長期滞在できるような環境を整える。」と締めくくった。
インターネットの進化によって変貌するメディアの将来についての発表である「~TV離れを回避するには~」に取り組んだのは、国際学部石井さん、水上君、ホスピタリティ経営学科の岩井君、丸山君、経済学部の前田君の5名。まず、TV業界の昔と今を振り返り、テレビが娯楽の頂点であった昔は、視聴率が40%前後という番組もあり、当時はテレビから生きる糧を得ていた。しかし、現在は有料動画サービス(amazon prime、Netflix、Abema TV、YouTube他)の出現により、若者のテレビ離れが始まり、視聴率が15~20%あればヒットとされる。テレビのマンネリ化がより進んでいるのが現状。そこで、グループでは、TVと動画配信サービスの比較の結果、テレビは家でしか見られないなど、規制が厳しくなり、どんどんマンネリ化が進み、若者には刺激が足りないという結果をもたらしたと言う。一方、「動画配信は、時や場所を選ばず、何度でも見直せる、テレビよりも規制が緩く現代の若者が求めている個人の趣味・興味に応じて、面白い動画を見ることができる」利点を指摘する。また、スマートフォン所有者を対象に、スマートフォンにインストールしているアプリの数を聞いたところ、ほとんどの人がアプリを取っており、「動画」、「SNS」などが圧倒的に多いことを統計的に述べる。また、「動画」については、ほぼ月額料金を払っていないものを閲覧していると指摘する。結局、スマートフォン内のアプリで使いやすく、便利でも有料だとあまりダウンロードされないこと。動画だけでなくゲーム、カメラもテレビの有料チャンネルも同じことがいえる。テレビや動画配信の収益性を考えるとまだまだ混沌としており、解決の出口が見えないと結んだ。