2022年度前期開講の「キャリアデザインⅢ」産学連携PBLクラスでは、2022年5月9日(月)に、シンエーフーヅ株式会社代表取締役の宮内賢二氏(以下、宮内氏)から、「今後飲食店において配膳ロボットは必要不可欠なものとなるか」という課題、株式会社たけでん取締役兼専務執行役員の那須耕三氏(以下、那須氏)からは、「株式会社たけでんにおけるこれからの新しい事業や仕事について考察する」という課題の2つの課題提示を受けた。今年度は、6名の3年次生がそれぞれ2つの課題に取り組んだので、その様子をダイジェストにて報告する。〔2022年6月20日(月)〕。
シンエーフーヅ株式会社様からの課題「今後飲食店において配膳ロボットは必要不可欠なものとなるか」についての学生の発表内容は以下のとおりである。
Aeinさんは、ロボットの特徴や長所・短所を分析し、安全安心な非接触サービスを提供できるロボットは、費用が高くても導入する店舗が増えていくだろうとの考えを発表した。宮内氏より、ロボットの初期投資は確かに高額だが、1時間当たりの電気代等の経費は300円であり、人の時給が1,000円とすると、費用は圧倒的に安いというコメントがあった。
町口さんは、配膳ロボットはウイルス感染防止や人件費削減が可能なので良い面もあるが、コロナ禍を通じて人同士のコミュニケーションのニーズが高まっており、必ずしも導入する必要はないとの考えを発表した。宮内氏より、ロボット導入に踏み切る必要性を感じつつも、導入に躊躇する気持ちもあり、いろいろな意見を聴けてありがたい、とのコメントがあった。
山本さんは、配膳ロボットは操作が簡単で十分な機能をもつところまで開発が進んでおり、コロナ禍で飲食業を営むには、導入が必要であるとの意見を発表。宮内氏より、ロボットは決められたことしかできないというのは短所と思われがちだが、人間はミスや間違いをしてしまうことを考えると、これはむしろ長所であり、ロボット導入のプラス要素となり、ロボット導入に向けて背中を押される考えである、とのコメントがあった。
三木さんは、配膳ロボットはお客からのイレギュラーな要望に応えるのが難しく、お客と直接コミュニケーションが取れないというデメリットのほうが大きいため、導入しないほうがよいとの意見を発表。宮内氏からは、接客業においてコミュニケーションは必須だが、高価格帯の店では人による接客を行い、低価格帯の店ではロボットを導入してコストを下げていくというように、柔軟に考えていくべきであり、将来的にはイレギュラーな要望に応えられるロボットの出現もあり得るとのコメントがあった。
岡崎さんは、配膳ロボットに関してメリットとデメリットを4つずつ整理した。SNS媒体で店のロボットについて投稿されると集客効果があるなどのメリットがある一方で、トラブルがあったときに責任の所在が不明確であるなどのデメリットがあることを指摘し、事前に責任の所在を明らかにすること、ロボット導入への理解を求めてロボットいじめを防ぐこと、そしてロボットを人がフォローできるようにすることを条件として、配膳ロボット導入に賛成するとの考えを発表した。宮内氏より、ロボットのエンターテインメント性についての指摘がよかった、責任の所在の問題についてはロボット導入契約時にぜひ参考にしたい、社会で十分に通用するプレゼンテーションであった、とのコメントがあった。
学生の発表の様子
シンエーフーヅ株式会社宮内氏
株式会社たけでん様からの課題「株式会社たけでんにおけるこれからの新しい事業や仕事について考察する」についての学生の発表内容は以下のとおりである。
陳さんは、日本では海外に比べて中古住宅取引が少ない一方で、空き家が増えて社会問題になっていることに着目した。コロナ禍で自宅で仕事をするためにリフォームを希望する人が増え、経済的な先行き不透明感から、高額な新築住宅より手ごろな中古住宅にシフトする動きもあることから、既存住宅のリフォーム・リノベーション事業に力を入れるべきであると提案。那須氏から、建材等の商社としてリフォーム・リノベーション事業への資材供給は今後重視したいと考えており、方向性としては陳さんの考えに賛成であるとのコメントがあった。
山本さんは、これまでの実績を生かし、リフォーム自由の賃貸物件のプロデュースや、テーマのあるシェアハウス運営などの新たな分野への進出について提案した。株式会社たけでん清水氏より、株式会社たけでんでは幅広い事業展開をしているが、シェアハウス運営などについては斬新なアイデアである、とのコメントがあった。
岡崎さんは、限界集落や消滅集落などで空き家となっている古民家のリノベーションと最新技術の試用を行い、都会から体験入居者を迎える、というアイデアを発表した。清水氏より、着眼点がとても面白く、社会問題解決にもつながり、会社の社会貢献にもなるし、株式会社たけでんの現行事業を活用できる企画なので、十分実現可能だと思う、とのコメントがあった。
学生の発表の様子
株式会社たけでん那須氏、清水氏