社労士である梅村氏からは、「OECD加盟国の中で日本の労働生産性は低いとされているが、その原因・要因について考察しなさい」という課題が出された。労働生産性は、国内総生産量÷(就業者数×労働時間)で算出されるが、それらの要因には、国民性や文化・生活習慣などが複雑に関与していると思われる。この課題に対する主たる要因とその根拠を示すことが要求される。
2018年度 前期においては、法学部2名と経営学部1名の学生3名が取り組み、各自の持論を展開した。経営学部2年次生の前田君の考察では、日本の生産性が低いのは、労働に対する日本の風潮・国民性により、「日本人は残業が多いため、仕事の効率が低下する」ことで国民総生産量が少なくなるという。また、「今後、少子高齢化で働き手が減り、さらに生産性が落ちてしまう可能性」も指摘し、さらに、「日本の採用、雇用に関する考え方の改善」を挙げ、新卒一括採用もまた、労働生産性の低下を招く要因であるので、今後、採用、働き方について抜本的な論議が日本において必要かもしれないと考察した。
後期においては、情報学部2年次生の奥村君の考察によると、労働生産性は、国内総生産量を「労働者数と労働時間」の積で除して算出されるが、その分母に要因があると指摘する。つまり、仕事に対するモチベーションや対価が異なる新人とベテランの労働者を一括りに扱っていることで、見かけ上、低く算出されると考察した。