

吹田市からの課題提示
(左:児童部 子育て政策室、右:都市魅力部 シティプロモーション推進室)
2025年度後期開講の1年次生対象科目「キャリアデザイン入門Ⅰ」において、吹田市からの行政課題に対して、解決に向けてグループで取り組むPBL(Project-Based Learning)をスタートした。この連携授業は吹田市都市魅力部シティプロモーション推進室と教育開発支援センターが連携し、学生の主体的な学修活動であるアクティブ・ラーニングとして実施されたものである。課題提示イベントでは、「児童部 子育て政策室」から「どうすれば自分たち学生は市役所に意見を言いやすくなるか?」、「都市魅力部 シティプロモーション推進室」から「市民主体の魅力発信『吹田クロス』を広めるには」との課題が提示された〔2025年10月29日(水)〕。

中 則夫先生
この2つの行政課題に対して、取り組んだ1年次生のグループから4つの課題解決案が発表された。この課題解決発表会には、吹田市児童部子育て政策室、都市魅力部シティプロモーション推進室に所属する多数の職員にお越しいただいた。
2025年度は新たな試みとして、国際学部および短期大学部の2年次生が学生サポーターとしてグループワークや発表準備をサポートする体制も導入された。先輩学生が1年次生の議論の進め方や発表資料の作り方を支援することで、より主体的で協働的な学びの場となった。発表会には、2年次生の学生サポーターも参加し、1年次生の成長を見守った。
このイベントに参加した全員で投票した結果、児童部子育て政策室の「子育て賞」にチーム「ラファエルエリアス」が、都市魅力部シティプロモーション推進室の「吹田クロス賞」にチーム「未来Cross」が選ばれ、後藤教育開発支援センター所長から記念品が贈られた〔2025年12月10日(水)〕。
ここでは、「子育て賞」を受賞したチーム「ラファエルエリアス」および「吹田クロス賞」に輝いたチーム「未来Cross」の発表内容を紹介する。
チーム「ラファエルエリアス」は、学生が市役所に意見を届けようとする際に感じている「そもそも市役所で何をしているのか分からない」「意見を出しても反映されないのではないか」といった心理的ハードルに着目した。まず、ゼミのクラスメンバーを対象に、市役所の業務内容に関する認知度調査を行ったところ、「市役所で何をしているか知っている」と答えた学生はおらず、日常生活のなかで市役所と接点を持つ機会の少なさや、パブリックコメント制度の認知不足などが明らかになった。
次に、TikTokやInstagramで「面白い」と感じる動画の特徴についてアンケートを実施し、ネタ系・動物や赤ちゃん・日常系の動画、庭を高圧洗浄機で掃除する動画、流行曲を用いたテンポの良い動画などが人気であることを確認した。これらの要素は、分かりやすさや親しみやすさ、思わず見続けてしまう構成に共通点があると分析した。さらに、吹田市職員が運用しているTikTokアカウントを調査したところ、コンセプトが曖昧で内容が伝わりにくい投稿が多い一方、「あるある」やVlog(日常系)などの動画は再生数が伸びていることを指摘した。
こうした調査結果を踏まえ、同チームは、①市職員の1日の様子や仕事の裏側を紹介する日常系動画の発信、②吹田市マスコットキャラクター「すいたん」の積極的な活用、③吹田市出身の有名人(お笑いコンビ・ジャルジャル、麒麟、ヴァイオリニスト葉加瀬太郎など)とのコラボレーション企画といったSNS戦略を提案した。さらに、SNSで市役所の存在や業務内容を身近に感じてもらうことに加え、小学校から大学までの各学校の代表者が市役所に集まり、意見交換を行う「学生と市役所の意見交換会」の実施も提案。学校での話し合いを通じて意見を整理し、市の担当部署に届ける仕組みを構築することで、学生の声が市政に届きやすくなるとまとめた。
「ラファエルエリアス」の発表の様子
児童部子育て政策室様のコメントの様子
チーム「未来Cross」は、市民のアイデアと市の魅力を掛け合わせて新たな魅力を創造する取り組み「吹田クロス」について、そのコンセプトが「新たな魅力の創造」とやや抽象的で、市民にとって参加イメージが持ちにくいこと、そしてSNSの活用が十分とは言えないことを課題として掲げた。そこで、吹田クロスの認知度を高め、若い世代にも魅力が伝わる発信のあり方を検討した。
まず、TikTokとInstagramの機能やユーザー特性を比較し、TikTokはおすすめ欄を通じた拡散力が高く、短い動画でインパクトや物語性を伝えるのに適している一方、Instagramはフォロワーを軸に、より長い説明文や「映える」写真・動画で情報を補足するのに向いていると整理した。そのうえで、Instagramで人気の大食いインフルエンサーや、大阪の街並みをタイムラプスで紹介するクリエイターへのインタビューや事例分析を行い、「静止画より動きのある動画」「キャラクター性のある人物」「音源のビートに合わせたカット」「色味を統一した映像」など、バズる動画に共通するポイントを抽出した。
これらの分析をもとに、同チームは、認知拡大の入口としてTikTokでインパクトのある短編動画やストーリー性のあるシリーズ企画を展開し、その詳細情報や「映える」風景写真、イベント情報などをInstagramに掲載するという二段構えの発信戦略を提案した。TikTokの視聴者をInstagramへ誘導し、フォローへとつなげることで、吹田クロスのファン層を広げていくイメージである。
さらに、吹田市の魅力を具体的に伝えるために、昭和期と現在の吹田市を比較し、「静かな郊外の街」から「住む・遊ぶ・働くがそろう人気都市」へと変化してきた姿を表にまとめたうえで、昔の市役所の写真や万博開催時の写真、吹田市立博物館などの資料を紹介した。また、Googleフォームを用いて大阪学院大学高等学校の高校生および大学生ら149名を対象にアンケート調査を実施し、現在最も利用しているSNSとしてInstagramとTikTokが多数を占める一方、「吹田クロスを知っている」と回答した人はごく少数であることが分かった。フォローしたくなるアカウントの特徴として、「面白い・興味深い」「役に立つ情報」「きれいな景色・おいしそうな料理」「PR色が強すぎないこと」などが挙げられたことから、こうした要素を取り入れた企画や発信が有効であると結論づけた。
発表のまとめとして、チーム「未来Cross」は、①成功事例を参考にSNSを用途別に使い分けること、②吹田市の新たな魅力を継続的に発信すること、③学校や大学と連携した授業・ワークショップを通じて若い世代の参加機会を増やすこと、④イベントへの参加や地域活動を通じて市民との接点を増やすこと、⑤面白さ・美しさ・学びの要素を兼ね備えたコンテンツを発信することの5点を提案した。
「未来Cross」の発表の様子
都市魅力部シティプロモーション推進室様のコメントの様子
「キャリアデザイン入門Ⅰ」官学連携PBLクラスでは、この課題解決発表会を終点ではなく通過点として位置づけている。1月以降の講義では、グループごとに発表を振り返り、今回の学びや外部からのフィードバックを今後の大学生活やキャリア形成にどのように活かしていくかについて事後学修に取り組む予定である。
表彰式の様子(ラファエルエリアス)
表彰式の様子(未来Cross)
































































