2025年度後期開講の「キャリアデザイン入門Ⅰ」産学連携PBLクラスでは、ジャーナリストの畑山氏、株式会社シンエーフーヅ 代表取締役社長の宮内氏より課題提示が行われた〔2025年10月27日(月)〕。
畑山氏からは、「大阪学院大学発 自転車青切符への安全行動啓発活動」をテーマとする課題が提示された。事前学習として、畑山氏が出演された番組『ブラマヨ弾話室 ニッポンどうかしてるぜ』を視聴し、今回の課題テーマである「自転車の交通ルール違反」について理解を深めた。自転車の交通違反に対して、車やオートバイと同様に反則金の納付を通告する、いわゆる「青切符」による取り締まりが2026年4月1日から開始される。たとえば「ながらスマホ運転」は反則金が科される想定であり、飲酒運転などの危険行為も厳しく取り締まられる。畑山氏からの課題は、「この新しいルールを、どのように周知すればよいか」である。自転車は免許がなくても利用できるため、交通法規の理解が十分でない利用者も多い。学生・社会人・高齢者など、すべての自転車利用者に新ルールを理解してもらい、適切な行動につなげることが求められる。また、社会に出れば、アイデアを他者に伝えるスキルは重要である。ぜひこの講義を通じて、プレゼンテーションスキルに磨きをかけてほしい。
宮内氏からは、「人口減少に抗う飲食ビジネスのサバイバル戦略!」が課題として提示された。人口減少によりGDPが縮小し、日本の国力が多面的に低下していく可能性が指摘されている。たとえば、一人当たりの税負担が増加し、将来的に社会保障制度の維持が困難になる懸念もある。他方で、都市への人口集中と地方の過疎化に歯止めがかからず、地域社会の維持が課題となっている。こうした人口減少社会に対して、飲食ビジネスはどのように向き合うべきかが課題の主題である。外食産業を継続していくために、「いつ、どこで、何を、誰に提供するのか」「どのようなビジネスを展開すべきか」「ブルーオーシャンはどこにあるのか」といった観点から検討することが求められた。これらの視点は、学生が将来起業を志す際にも示唆となるため、この機会に考えてほしいとのメッセージがあった。


課題提示の様子
受講生による課題解決発表会が開催された。受講生は4グループに分かれ、それぞれが選択したテーマについて成果発表を行った〔2025年12月8日(月)〕。
第1グループは外食産業をテーマに選び、独自アンケートを実施して外食頻度や外食を控える理由等を調査した。その結果、外食を控える主な理由は「健康志向」「価格が高い」「店舗が近くにない」の3点であった。外食利用が相対的に少ない高齢者層と、今後増加が見込まれる訪日・定住外国人をターゲットに設定し、(1)地方在住で移動手段が限られる高齢者向けに健康的で比較的低価格な宅配弁当、(2)外国人向けに多言語対応の体験型日本食レストラン、の2つのビジネスを提案した。
宮内氏からは、課題に対し内容がよく練られているとの評価があり、デリバリーは配送コストにより価格が高くなり得る点が懸念として示された一方、コストに公的支援を活用するという考え方もあり得るとのコメントがあった。


第1グループの発表および講評の様子
第2グループは自転車の交通違反に関する啓発に取り組んだ。動画や画像等、インターネットを介した啓発は、関心のない層には届きにくいという仮説のもと、あえてチラシ配布による啓発を実施した。現状として、自転車の交通ルールを理解し遵守している人は十分に多いとは言えず、イヤホンを装着したままの走行や、スマートフォンを見ながらの走行など、危険な行為が散見される。そこで大学の駐輪場でチラシを配付し、イヤホン装着のまま自転車に乗る人の人数を配付前後で比較したところ、配付後に増加する結果となり、チラシのみで行動変容を促すことの難しさが示唆された。
宮内氏からは「完成度の高いチラシであるため、反則金額(例:12,000円等)や事故例など、具体的な情報を加えると、より訴求力が高まるのではないか」とのコメントがあった。


第2グループの発表および講評の様子
第3グループも自転車の交通ルール周知に取り組み、ルール違反の具体例を解説する動画を制作した。14名に視聴してもらいアンケートを実施したところ、視聴者全員が「今後、自転車に乗る際は動画で示された違反行為をしないよう注意したい」と回答した。
宮内氏からは、すぐに活用できる分かりやすい動画であるとの評価があった。また、学習支援室の呉講師からは、多くの学生に視聴してもらうための導線設計が重要であり、拡散・周知のアイデアも含めて検討する必要があるとのコメントがあった。


第3グループの発表の様子
第4グループは外食産業の戦略をテーマとした。今後は高齢者や未婚者の増加に伴い単身世帯が増えると見込まれるため、単身世帯向けのテイクアウト対応店舗を拡充すべきであると提案した。テレビ番組の調査結果として、若年層はテイクアウト・外食ともに利用率が高い一方で、高齢者は両者とも利用率が低い傾向が示されていたことを踏まえ、(1)世代に合わせたメニューの最適化、(2)購入しやすい環境づくり、(3)季節ごとのキャンペーン実施、の3点により利用率と購買意欲を高め、利用者拡大を図るべきだとまとめた。
宮内氏からは、単身世帯に焦点を当て、3つの観点で提案している点が良いとの評価があり、国内市場が飽和傾向にあることを踏まえて海外市場に目を向けることも、外食産業を支える選択肢の一つであるとのコメントがあった。


第4グループの発表および講評の様子
2025年12月15日に、畑山氏からの講評が次のとおり行われた。
私はこれまでの「産学連携PBL」における課題提示を通じ、学生が実社会の課題解決に向けて多様な提案を行う姿を見てきた。今回は趣向を変え、大学生に直結する「社会的なルール変更」を題材に、学内周知をシミュレーションではなく実践として取り組んでもらった。
自転車は多くの学生に身近であり、来春から環境が大きく変わることを「今、そこにある危機」として捉えられた点が大きい。アンケート、動画、ウォッチング等で学内を「生きた教材」として活用し、リアルで多面的な発表につながった。
2つのグループの報告は私の意図どおりで、想像以上に充実した内容だった。今後は、本学として実践例を生かし、大学と学生が連携して自転車の違反・事故の撲滅に取り組む段階へ高めてほしい。
いずれのグループの発表も力作であった。ネット検索による表面的な調査にとどまらず、チラシや動画を制作し、アンケート等による検証を行い、その結果を踏まえて課題解決の糸口を見いだそうとしていた点が特に印象的である。仕事においても日常生活においても、課題を発見し、取り組み、検証し、新たな課題を見いだすというプロセスの繰り返しが成長につながる。今後もさまざまな活動を企画し、参加し、試行し、次につなげていってほしい。
本学では今後も「産学連携PBL」の取り組みを通じ、実社会で活躍できる人材の育成に取り組んでまいります。
(注)制度の詳細や対象違反の最新情報は、警察庁・大阪府警の案内を参照してください。
警 察 庁:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/portal/system.html
大阪府警察:https://www.police.pref.osaka.lg.jp/kotsu/kaisei/21919.html































































