吹田市からの課題提示(左:市民部 人権政策室、右:消防本部 総務予防室)
2024年度後期開講の1年次生対象科目「キャリアデザイン入門Ⅰ」において、吹田市からの行政課題に対して、解決に向けてグループで取り組むPBL(Project-Based Learning)をスタートした。この連携授業は吹田市都市魅力部シティプロモーション推進室と教育開発支援センターが連携し、学生の主体的な学修活動であるアクティブ・ラーニングとして実施されたものである。課題提示イベントでは、「市民部人権政策室」から、「平和について若い世代にもっと興味関心を持ってもらい、吹田市立平和祈念資料館の集客に繋げていくにはどうすればいいか」との課題、「消防本部総務予防室」から、「若い人材の消防団加入促進について」との課題が提示された〔2024年10月30日(水)〕。
橋本 朗子先生
この2つの行政課題に対して、取り組んだ1年次生のグループから6つの課題解決案が発表された。この課題解決発表会には、吹田市都市魅力部シティプロモーション推進室、市民部人権政策室、消防本部総務予防室に所属する多数の職員にお越しいただいた。このイベントに参加した全員で投票した結果、市民部人権政策室の「人権賞」にチーム「大梨」が、消防本部総務予防室の「消防賞」にチーム「iPhone」が選ばれ、後藤教育開発支援センター所長から記念品が贈られた。〔2024年12月11日(水)〕。
ここでは、「人権賞」を受賞した「大梨」および「消防賞」に輝いた「iPhone」の発表を紹介する。
「大梨」チームは、「吹田市立平和祈念資料館 ~認知度・来館者の増進を目指して~」と題し、発表を行った。まず、認知度向上のためのホームページ刷新とSNS活用を提案。特に10代から30代に情報が届くようにするためのデジタル戦略として、既存のウェブサイトを最新仕様に更新し、X、Instagram、LINE、YouTubeなどのSNSで公式アカウントを開設して広報活動を強化することを挙げた。具体的には、ホームページに設置するコンテンツとして平和に関するキーワードが答えとなるクロスワードゲームの追加、新しいロゴの作成、そしてXアカウント「吹田市平和祈念資料館」の新規開設を提案した。
次に、館内イベントと展示の刷新について、展示コーナーの改善や、季節やテーマに基づいた企画展示の実施を提案。3つ目として、戦時中の食事を再現する体験型ワークショップをはじめとするミニイベントの実施を検討し、リピーターを増やす仕組みを考えた。
最後に、「これらの3つの取り組みを通じて施設の認知度を高めることにより、来館者数を増やすことができるのではないか」とまとめ、発表を終了した。
「大梨」の発表の様子
市民部人権政策室様のコメントの様子
「iPhone」チームは、「偏りのない世代の消防団」と題し、大学生を中心とした若い世代の加入促進策を提案した。はじめに、消防団を取り巻く現状と課題として、高年齢化が進み、若い世代が参加しづらい状況であること、また消防団の認知度が低いことについて検討した。その結果、若い世代、特に大学生をターゲットとした施策を考えることになった。また、大学生をターゲットにした理由として、社会人よりも時間に縛られていないこと、「学生消防団活動認証制度」があること、体力があることなどを挙げた。
具体的な加入促進策として、次の3つを挙げた。
①メンターシップ制度:先輩団員と繋がりを持ち、活動内容を深く理解する機会を提供する。
②研修教育プログラム:学びやすい環境を整え、規範意識の向上や体験を通じた成長を支援。
③フレキシブルな活動時間:時間の制約を軽減し、他の活動との両立を可能にする。
これらの施策により、消防団の加入ハードルを下げ、多様な人材が偏りなく参加できる環境を目指すことができるのではないかと締めくくった。
「iPhone」の発表の様子
消防本部総務予防室様のコメントの様子
「キャリアデザイン入門Ⅰ」官学連携PBLクラスでは、この課題解決発表会を終点ではなく、通過点として捉え、1月の講義では今後の学修に活かすための振り返りを行い、事後学修に取り組む。
表彰式の様子(大梨)
表彰式の様子(iPhone)