2年次生以上を対象に開講している「キャリアデザイン入門Ⅱ」(松本 治講師担当)では、産学連携による課題解決型学習の一環として、外食産業運営会社である「シンエーフーヅ株式会社」の店長会議に学生が招かれ、課題解決発表を行った。
10月の講義において、同社の宮内社長から「飲食業界は①どうすれば売り上げを増やすことができるか、②どうすれば経営にかかる費用を減らすことができるか」との課題提示があり、受講生は課題解決に取り組んだ〔2024年10月28日(月)〕。
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「野生動物との共生」、「飲食業界は①どうすれば売り上げを増やすことができるか、②どうすれば経営にかかる費用を減らすことができるか」、「企業が生成AIの恩恵を受けてどのように変化するか」
12月の課題解決発表会では、SNS運用のために子会社を設立し、グルメインフルエンサーによるタイムリーで正確な情報発信で知名度を上げ、顧客を開拓しファンを増やすという提案において、宮内社長から「ぜひ店長会議でプレゼンテーションしてほしい」と高い評価を受けた〔2024年12月9日(月)〕。
学生の発表の様子
シンエーフーヅ株式会社 宮内社長
2025年2月に開催された「シンエーフーヅ株式会社定例店長会議」に受講生7名が招かれ、「SNSを使用した集客方法」をテーマに課題解決発表を行った。SNSとインフルエンサーを軸にしたマーケティング施策だけでなく、多言語対応サイトやキャッシュレス化も含む総合的な提案を示したところ、出席した各店舗の店長からは「SNSツールの最適活用方法」「キャッシュレス決済を選択する基準」「レビュー投稿に影響を与える接客方法とは?」といった具体的な質問が寄せられた。これに対し、受講生は「リール動画の拡散力」「QRコード注文の利便性」「フレンドリーな接客が口コミを後押しすること」といった観点から回答を行い、活発な意見交換が行われた。
学生からは次のとおり発表後の感想が寄せられた。「学生の間にこのような経験ができてよかったです。」「就職後の社内会議などで必ず生きる瞬間が来ると思えました。」「大学とは違い、とても緊張しましたが、皆さんが温かく聞いてくださいました。」「質問された時に受け答えする力や、緊張に打ち勝って発表する力も少しはついたと思うので自信になりました。」「自分たちの考えや意見などを真剣に聞いていただきました。この授業を受講できて、とても楽しかったです。」〔2025年2月6日(木)〕
受講生による発表の様子
「キャリアデザイン入門Ⅱ」の受講生
宮内社長からは、「発表いただいた学生の皆様、大学関係者の皆様に心より感謝申し上げます。これからも、的確な情報収集と豊かな創造力で課題解決に取り組んでいただければと思います。参加した社員から、いただいた提案について是非取り組んでみようという意見も出ており、年度内にとりまとめて報告させていただく予定です。」とのコメントがあった。
最後に、講義担当者の松本 治先生に本学の「産学連携PBL」に対する思いを聞いた。「産学連携PBLでは、実社会における課題提示が行われ、それに対する解決策をまとめ、プレゼンテーションを行うという流れで行っている。しかし生成AIの普及で、学生は提示されたアウトプットのひな型をなぞるだけになりがちだ。そこでは「経験による学び」が損なわれ、キャリア教育としての「社会との接続」が弱まっている。伴走者としての教員は、学生自身が問いを立て、探求し、主体的に成長する場を作る必要がある。そのため、学生に新たな視点や最新の情報源に気づかせる声掛けを続け、自らも同じ課題を掘り下げる。学生の成長は教員にも学びがあり、十数回の授業でも互いに大きな財産を得られる。この醍醐味があるからこそ、悩みながらもPBL授業の伴走を続けている。一方で、生成AIは便利なツールでもあり、教員自らも活用しつつ、学生に主体的な思考を促すための補助ツールとして位置づけることが重要だ。学びは試行錯誤から生まれることを忘れず、常に共に学び合う姿勢を大切にしていきたい。」
シンエーフーヅ株式会社 宮内社長
「キャリアデザイン入門Ⅱ」担当者 松本治 講師
本学は、これからも、PBLの実施を通し、学問と社会・産業の関わりについて考え、行動する発信力のある人材育成をめざします。