「野生動物との共生」、「飲食業界は①どうすれば売り上げを増やすことができるか、②どうすれば経営にかかる費用を減らすことができるか」、「企業が生成AIの恩恵を受けてどのように変化するか」
2024年度後期 キャリアデザイン入門Ⅱ
【担当教員】
非常勤講師 松本治 講師
2024.12.12 更新

 2024年度後期開講の「キャリアデザイン入門Ⅱ」の産学連携PBLクラスでは、ジャーナリストの畑山氏、シンエーフーヅ株式会社代表取締役社長 宮内氏、公認会計士・税理士の杉本氏の3名から課題提示があった〔2024年10月28日(月)〕。

 畑山氏からは「野生動物との共生」という課題提示があった。
 事前知識として、畑山氏の出演番組『ブラマヨ弾話室 ニッポンどうかしてるぜ』を視聴し、今回の課題テーマ「野生動物との共生」について学んだ。最近、山から出てきたクマが人を襲うなどの人的被害について話題になっている。過剰な山地開発と異常気象のせいで、山林に野生動物の餌が不足しているのが原因と言われている。一方、野生動物が飢えるのを心配して人が用意した餌により、猪や鹿など野生の個体が過剰に増加している。しかし、動物愛護の観点から、農産物を食い荒らされたり人が死傷したりしたからといって動物を殺すべきではないという意見もある。「もし自分がこの問題の行政担当者だとすれば、野生動物との共生という問題にどのように対応するか」を今回の課題とする。駆除するにしてもどうやって駆除するのか?ユニークな視点で斬新なアイデアを出してほしいとのことであった。

 次に、宮内社長からは「飲食業界は①どうすれば売り上げを増やすことができるか、②どうすれば経営にかかる費用を減らすことができるか」との課題提示があった。
 コロナ禍で飲食業界は大きな打撃を受けた。ファストフードはあまり打撃を受けず、売り上げを伸ばし続ける一方で、ファミレスや喫茶店、居酒屋などはコロナ禍以前の水準に戻っていない。人口減少で国内市場が縮小しており、物価高騰で外食機会が減り、飲み会や会食で集まる機会も減っている。原材料費と人件費の高騰も経営を圧迫している。昨今の飲食業は非常に厳しい環境に置かれている。しかし、「飲食」は人の生活に不可欠な営みであり、生活を支える重要な産業である。自分が飲食業を営む社長ならどうするか考えてみようとの説明があった。

 最後に、杉本氏からは「企業が生成AIの恩恵を受けてどのように変化するか」との課題が提示された。
 最近、上場廃止した会社のなかに、かの有名な日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社がある。利益が前年比7割減など、経営収支の悪化による上場廃止となった。企業は外部環境に適応して利益を出し続けねば立ち行かなくなるのだ。一方、昨今生成AIが急速に広まり、誰でも気軽に使えるようになった。生成AIのメリットはプロンプトを与えればそれこそ一瞬で回答できることだ。うまく使えば誰もがこれまでの仕事における「作業」を生成AIにまかせて、AIにできない創造的な仕事に集中できるだろう。一方、生成AIの回答が常に正しいとは限らず、情報源はインターネットで検索できる情報に限られる。こうした点に留意しつつ、私が提示する課題について考えてもらいたい。考えるときには、Chat GPTなどの生成AIを実際に使ってみるとよいだろうとアドバイスがあった。

課題提示の様子

受講生による課題解決発表会が開催された〔2024年12月9日(月)〕。
1.害獣対策について
 畑山氏からの課題「野生動物との共生」に、松田さん、村見さん、戸川さんの3名が取り組んだ。現状を調査した結果、害獣が山から下りてこないようにする対策と、農作物被害を防ぐ対策が実施されていることがわかった。今後はAIを活用してそうした対策を強化するべきであるという考えを発表した。たとえば、ドローンを使って熊の居場所や行動パターンを把握して熊と人間が遭遇しないようにする、あるいは野生の鹿や猿にGPSの首輪を装着して個体数の増減や生態を把握し、山を下りてくる原因や時期を知ったりする試みをさらに進めることが考えられる。また山に木の実が豊富にあれば人里に現れる動物が減ることがわかっており、AIカメラを活用して木の実の生育状況を把握することで被害発生の時期や規模を予測することができる。ドローンやAIの導入に初期コストがかかるのは否めないが、根本的な原因を知り被害を予防することが重要である。
 畑山氏からは、里の空き家が野生動物に荒らされる問題をはじめとして、今後過疎化と人口減少によってさらに野生動物との共存という課題はクローズアップされると予測でき、今回の発表をきっかけとして今後も考えを深めてもらいたいとのコメントがあった。

学生の発表の様子①

ジャーナリスト 畑山氏

2.飲食業の業務改善について
 宮内社長より提示された課題「飲食業界は①どうすれば売り上げを増やすことができるか、②どうすれば経営にかかる費用を減らすことができるか」には、道吉さん、澤村さん、今川さん、丹さんの4名が取り組んだ。提供メニューや原材料の見直しと料理研究部門の設置のほか、ガスと電気を効率的に使い、助成金を活用して太陽光発電を取り入れるなど環境負荷を減らして持続可能な事業を行うという提案があった。
 特に、SNS運用のために子会社を設立し、グルメインフルエンサーによるタイムリーで正確な情報発信で知名度を上げ、顧客を開拓しファンを増やすという提案は、宮内社長から「ぜひ月に1度の店長会議でプレゼンテーションしてほしい」と高い評価を受けた。一方、SNSをほとんど利用していない高齢の顧客も多く存在するので、そうした客層に訴求するアイデアもぜひ考えてもらいたいとのコメントもいただいた。課題解決の発表に対して産業界から直接のフィードバックがあったり、提案を喜んでもらえたりするのはPBL授業ならではの醍醐味である。

学生の発表の様子②

シンエーフーヅ株式会社 宮内氏

3.生成AIによる業務改革について
 杉本氏から提示された「企業が生成AIの恩恵を受けてどのように変化するか」という課題にはクラス全員の7名で取り組んだ。選んだのは株式会社ダスキンである。杉本氏からは、なぜダスキンに決めたのかという質問があった。自動掃除ロボットが広く使われるようになり、清掃業は今後AIによって変わると考えて清掃業の大手であるダスキンに着目したとのことである。今後はAIを用いて清掃用資材や水の使用を最適化し、薬剤使用による環境負荷を減らし、環境に優しい方法で掃除をすることが求められる。またダスキンの介護事業もAIの導入で効率化と質の向上が可能である。たとえば高齢者のモニタリングや体調管理、ケアプランの作成などにAIを使えば従業員の負担が減り、個人に合わせたケアを提供できる。また会話AIは孤独感の軽減だけでなく、感情分析によって不安やストレスを察知できる。このようにAIの導入によって個別ニーズに迅速にこたえる介護が実現できると考えられる。ダスキンの飲食事業(ミスタードーナツ)では、無人レジを導入すれば回転率が上がりレジの行列が解消され、AI調理ロボットを使えば安定した品質で商品を提供でき、人手不足を解消できるだろう。AIロボットやシステムの導入には初期費用がかかるとはいえ、今後はさらに人手不足が予測されることから、AIを積極的に導入するメリットは大きいという提案であった。

学生の発表の様子③

税理士・公認会計士 杉本氏

2024年度 吹田市との官学連携PBL「人権賞」、「消防賞」の紹介
「野生動物との共生」、「飲食業界は①どうすれば売り上げを増やすことができるか、②どうすれば経営にかかる費用を減らすことができるか」、「企業が生成AIの恩恵を受けてどのように変化するか」
京都の和菓子店青洋×大阪学院大学短期大学部@吹田くわい祭り
京都の和菓子店青洋×大阪学院大学短期大学部
2023年度 吹田市水道部との「官学連携」取り組みのご報告(OGUプレゼンサークル)
「キャリアデザイン入門Ⅰ」官学連携PBLの「選挙賞」優勝チームが「吹田市明るい選挙推進協議会」が開催する市民向け講座「白バラ講座」第二部シンポジウムにゲストとして招かれました!
2023年度 吹田市水道部との「官学連携ゼミ」取り組みのご報告(商学部松田ゼミ)
「電動キックボードの安全かつ便利な運用を可能にする方法について」、「有価証券報告書を読み解く~経営に影響を及ぼす外部環境の変化に対応するには?」
2023年度 吹田市との官学連携PBL「選挙賞」、「ライブラリー賞」の紹介
2021年度 吹田市との官学連携PBL「優秀賞」の紹介
「ポストコロナ時代のフードデリバリーサービス~今後のビジネス戦略」、「住宅設備資材商社たけでんの経営戦略」
卒業生のアカペラグループ・clearanceの広告チラシとゼミナールのロゴマークを制作
2022年度 吹田市水道部との「官学連携ゼミ」取り組みのご報告(商学部松田ゼミ)
大阪学院大×吹田市「下水道プロジェクト」発表会の報告
「日本のお酒について、今後どのようにすればより良い世の中になるか」、「興味のある会社の有価証券報告書をじっくり読み、その会社のどんなビジネスが、今後どのように発展していくのかを考える」
2022年度 吹田市との官学連携PBL「自主防災賞」、「授産製品賞」の紹介
産学連携PBL・蜜林堂ブランド「Pot Honey」のフライヤー制作
「円安の経済状況下における新規事業提案」、「有価証券報告書を読み解く~ポスト・コロナ時代に伸びる企業・伸びる事業は?」
「飲食業界における配膳ロボット導入の是非」、「社会課題の解決を志向する事業提案~住宅設備商社の場合」
京都府花キ振興ネットワーク×おくだばらえん×大阪学院大学短期大学部
産学連携PBL・蜜林堂ブランド「Pot Honey」のフライヤー制作
産学連携PBL「SC(ショッピングセンター)課題解決演習」
「若者のテレビへの関心を戻すには」、「アフターコロナ ソニーの経営戦略」
自分で企業を選んで、コロナ禍の企業努力 について調べてみよう
大阪府・市の副首都推進局との官学連携PBLの課題解決発表会を行いました!
2020年度 吹田市との官学連携PBL「市民自治賞」「都市計画賞」の紹介
「コロナ禍がもたらすビジネスモデルを考える」、「コロナ禍における有効な支援策」
ラジオCM制作プロジェクト「産学連携PBL」
商店街魅力発掘プロジェクト
商店街魅力発掘プロジェクト
短期大学部PBL演習
2019年度後期 経営学部ホスピタリティ経営学科 後藤ゼミナールⅠB ×CET秋学期クラス編
2019年度 吹田市との官学連携PBL「すいすいくん賞」「NATS賞」の紹介
「外食産業の地位向上と今後も社会に貢献し、進化、発展し続けるために取り組むべきこと」「日本の税制・税金は公平だと思いますか?」
「社会人と健康経営」「地域活性化に繋がるデザインリノベーション」
「神戸ハーバーランドのPR策・来街促進案」・「どうしたらテレビ業界は立ち直れるか? 再び、皆に見てもらいたい」
「私立大学情報環境白書」に「吹田市との官学連携PBL、産学連携PBL」が掲載
ラジオCM制作プロジェクト「産学連携PBL」
商店街魅力発掘プロジェクト
広報誌「ロルロージュ」制作プロジェクト
日本の労働生産性が低い理由を探る!「産学連携PBL」
私の働き方改革「産学連携PBL」
ラジオCM制作プロジェクト「産学連携PBL」
吹田市との「官学連携PBL」
OGU紹介動画制作プロジェクト
CDプロモーションプロジェクト
短期大学部PBL演習
ラジオCM制作プロジェクト「産学連携PBL」
短期大学部PBL演習
吹田市との「官学連携PBL」
ラジオCMプロジェクト 「産学連携PBL」
多様な課題の解決にトライ「産学連携PBL」
短期大学部PBL演習
ラジオCMプロジェクト「産学連携PBL」
吹田市との「官学連携PBL」
ラジオCMプロジェクト「産学連携PBL」
ラジオCMプロジェクト「産学連携PBL」
平成27年度 FSD 講演会