Vol.3 當川 伸一さん

Vol.03【日本画家】當川 伸一さん 1999.3 経営科学部卒業「日本画の美しさに魅せられて~3年連続「院展」入選~」

1999年卒業の當川伸一さんは、3年連続「院展」に入選し、「院友」という格式高い肩書きを得ることとなりました。日本画に魅せられたのは、2001年の夏、知人から大阪を代表する日本画家である松岡政信画伯に紹介されたことがきっかけです。それまでは、「日本画って水墨画のこと?」と思う程度で、ほとんどその内容をご存知なかったそうです。画伯との出会いの後、次第に日本画に興味を持ち、スケッチから始め、4年後の2005年に初入選、昨年で3年連続3回目の入選となり、日本美術院「院友」に推挙されました。

「院展」とは、明治31年に岡倉天心やアメリカ人フェノロサにより創設され、横山大観や下村観山といった当時日本の中心的な作家が集まり、近代日本画の発展に大きな役割を果たした日本画で最高峰の集団である日本美術院が主催する展覧会のことです。

日本画に魅かれた理由

大学時代に本学を訪れた留学生をサポートする「STUDENT HELPER」をしていました。違う文化や価値観で育った彼らと接し、自然と海外に目を向けるようになりましたが、同時に、自国である日本についてあまり知らないということを強く感じるようになりました。そうした中、日本画に出会い、日本の伝統と文化を大切にし、一人でも多くの人に素晴らしさを伝えることができればと思い、本格的に日本画の勉強を始めました。

Vol.3 當川 伸一さん

モデル選びは?

花や動物をモデルにすることが多いです。特に「院展」では、動物を描き続けています。平素から動物に関心を持ち、この動物と決めたら、動物園に何日も通うのですが、そのうちに、飼育員さんと顔見知りになることもあり、生態や個々の性格も教えてもらえたり、良い取材ができることもあります。描きたい構図どおりに動物が止まっているわけではないので、一頭ごとの印象を頭の中に入れ、組み立てていきます。

どのように描きますか?

何枚ものスケッチを元に、小さな用紙に思い浮かぶ構想を描き、色や構図を何パターンも試し、小下図を作ります。そして、それを元に拡大して本紙に描きます。大作になると、ここまで1~2か月を要します。そして、これから実際に描いていきます。学校で習う水彩画や油絵と言ったチューブ絵具を使う洋画に対して、日本画は、墨も使用しますが、岩絵の具を主に使用します。これは、鉱石をパウダー状に細かく砕いたもので、これに、膠(にかわ)(接着剤)と水で溶き、毛筆で描きます。線描きの後にバックから描き始め、次第に主題へと描いていきます。 自宅(兼アトリエ)で制作していますので、描こうと思えば何時間も描け、休もうと思えばいくらでも休めるので、自己管理をするのが大変です。締め切りが迫ってくると、心身共に疲労が蓄積されている状態で、“妙なテンション”になりますね。時々飼っているネコが、絵の上を走りまわったりするので怒ることもありますが(笑)・・・。

今後の目標・学生へのメッセージ

「院友」になれたとは言え、今はまだ「本当の意味で絵描きとしてのスタートラインに立てたかな」という感じです。多くの方に日本画の素晴らしさを伝えることができればと思っています。 後輩の皆さん、人との出会いは、自分の人生を変えていくターニングポイントになるかもしれません。長い人生、生きていく上で、大きな財産となります。出会いを大切に、誠実さと思いやりの心を持って人に接してください。絵に興味を持ち、私の後に続く卒業生が出てくれば、とても嬉しいことです。

Page Top