Vol.14 池田 聰博さん

Vol.14【老舗和菓子店 代表取締役】池田 聰博さん 1980.3 商学部卒業「高知で江戸時代から続く老舗和菓子店を継ぎ、和の文化を伝える。」

土佐銘菓「ケンピ」などで知られる「西川屋」は、高知県で代々続いている老舗和菓子店です。OGUの卒業生である池田聰博さんは12代目当主として、新たな販路の開拓や和の文化を継承する取り組みを進めています。現在に至るまでの経緯や学生時代の思い出、菓子作りに対する思いなどをお聞きしました。

江戸時代から人気の土佐銘菓「ケンピ」

西川屋は1688年創業の老舗和菓子店で、江戸時代には土佐藩の御用菓子司として、菓子やそうめんを納めていました。現在は高知県内に7店舗を構えています。
12代目当主で代表取締役の池田さんに当主としての心持ちを伺ったところ、「家業を継ぎ、次世代へと伝えることは喜びであり、苦労と思ったことはありません」と語りました。
西川屋の代表商品である「ケンピ」は、初代西川屋才兵衛がそうめんからヒントを得て作ったといわれ、小麦粉を練って薄く延ばし、角切りにしたものを焼き窯で焼き上げるというシンプルな干菓子です。口にするとその硬さに驚きますが、素朴な味わいが癖になり、手が止まらなくなるおいしさです。近頃は軟らかいものが好まれる傾向にある中で、この硬さが好きだというお客様も多い様子。何百年にもわたって受け継がれてきたお菓子の人気の高さを教えてくださいました。

Vol.14 池田 聰博さん

留学の夢をかなえたOGU時代

大学時代の経験で最も印象に残っているのは、アメリカへ1年間留学したことだと語る池田さん。「当時はまだ欧米諸国に追いつき追い越せという時代で、海外へ行くことが大きな夢でした。恩師の後押しのおかげで留学でき、将来の日本の姿を実感できたのは大きな収穫でした」。同時に日本文化のよさを改めて認識したことで、和の文化を伝えるという自分の役割を自覚できたことも、現在の仕事に大きく生かされているといいます。そして、学生時代の友人とは現在も交友があり、ビジネスにおいても互いに大きな力になっていると力強く話してくださいました。

菓子作りを通して和の文化を次世代へ

西川屋は高知県内の店舗だけでなく、三越や髙島屋、阪急百貨店といった全国の有名百貨店でも「ケンピ」や「芋けんぴ」などを販売しています。またオンラインショップも開設し、販路の拡大に努め、着実にファンを増やしています。
また、池田さんは和の文化の継承にも力を入れています。戦前まで工場店舗としていた創業地の赤岡本店を2011年にリニューアルし、土佐藩の御用菓子の文書など貴重な資料を展示する資料館「西川屋おりじん」を設けました。さらに多目的スペース「与楽亭」も設け、落語会などのイベントを開催し、日本の伝統文化の発信と地域振興にも取り組んでいます。
最後に「OGUは若い諸君の今後の夢をかなえるための力添えをしてくれる場所です。頭を柔らかくし、目標に向かって進んでください」と語りました。

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