「私の留学:新たな一歩」~前田 理央(バイロイト大学)

外国語学部3年次生 前田 理央

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こんにちは。ドイツのバイロイト大学に2学期間留学していた前田理央です。先日帰国し、まだ学生生活最大の目標であった留学が終わってしまったという実感がないままこのブログを書いています。そんな僕は留学先であるドイツにたくさんの期待と少しの不安を持って到着し、留学生活に臨みました。しかし、自分の英語力、ドイツという英語を母国語として話さない国に対する理解、自身の消極的な性格など色々なことから挫折を感じ、初めの期待と不安は気付いた頃には逆転していました。始まったばかりだった留学は到着して一時間と経たずに絶望に近いような感情で一杯になっていました。それでもこの不安はきっと初めは誰もが経験するものだと自分に言い聞かせ、なんとか生活を安定させることができ、苦労の末、留学のスタートを切ることができました。それでも当初は頼れる存在がほとんどなく、ドイツ語が全く理解できなかった自分にとっては、バスで街へ出向き買い物をするといった日本では何の苦労もないようなことすら困難で、無意識にドイツという国を留学先に選んだ自分に対して後悔の念を覚えるほどでした。そんな自分でも授業が始まり同じように世界中から集まる留学生やドイツ人の学生たちと時間を共にするうちに、やっと思い描いていた留学が始まったと思えるようになり、後悔はすぐに消えていました。 

留学生として履修していた授業のほぼ全てが日本人一人という状況だったので、日本語に甘えるということはもちろんできないですし、日本人として今まで過ごしてきた経験や思い込みのようなものはあまり価値を持たないこともすぐにわかりました。授業内では多種多様な国の人々と接する機会があり、その全ての人がそれぞれ違った経歴や文化を持っていました。授業一つとってもたくさんの発見や学生たちの物事に対する捉え方を学ぶことができ、それは最終的に自分自身の柔軟性を大きく育くみ、異文化に対する理解を深めてくれました。ただ授業では英語を使って流暢に自分の意見を述べる学生と自分を比べて落ち込んだり、日本語でも難しいと思われる内容と膨大な勉強量に圧倒され、また自分の根本的な知識不足など色々な面で苦労しました。日本では毛嫌いして滅多にすることのなかった予習、復習は、しないことに対して不安を覚えるまでになっていました。それらの苦労と自分なりに向き合い、日本にいた頃とは比べ物にならないほどの努力を重ねていくにつれ、自分自身の英語力が格段に上がっている感覚があり、ドイツに来た当初多々あった会話の中で自分の言いたいことが英語で言えないということが少しずつ減っていき、完璧ではないものの今では自分の言いたいことを相手に上手く伝える術を身につけることができました。それと同時に自分自身の知識も高まって、さらにたくさんのことを学ぶ原動力にもつながりました。バイロイト大学に在籍していた期間中、本当にたくさんの知識を得ることができ、自分という人間により深みを与えてくれたと感じています。 

そして僕は留学中たくさんの異文化に触れました。ヨーロッパの特色とも言えますが、実に10を超える国とドイツ国内の様々な地域へ足を運び、初めての経験をたくさんしました。今までいつか見てみたいと思っていた景色や建物が目の前に広がる度にとても大きな幸福感でいっぱいで、留学中、最も充実感を感じる瞬間でした。それでも中には苦い経験もあり、つい「日本ではこんなこと決して起こらないのに」と、時には自分の都合良く進まない問題や困難を日本と比べてしまう自分がいました。しかし、海外が日本と違うことなど当然でそれに対する理解が足りていなかったことに次第に気づき、最終的にそれらの違いを楽しめるようになりました。今では多少の困難や経験したことのない問題にも前向きに取り組めるようになり、ただ楽しさみでしていた留学中の旅行でさえ自分を成長させてくれることになりました。

今、改めて振り返ると僕の留学生活は挫折や失敗の連続で、決して楽しいことばかりではありませんでした。しかしそれら全ての経験が自分を大きく成長させてくれ、一人の人間として一回りも二回りも大きくなることができたのではないかと感じています。これからも続く人生の中でこの留学は間違いなく最も刺激的でたくさんのことを与えてくれた財産だと確信していますし、これから自分がどのような人間になり人生を送っていきたいかを明確にしてくれたような気がします。この経験を忘れず今後も自分自身をより一層高めていきたいと思います。