フランス~オルレアン大学(福居 春日)

外国語学部3年次生 福居 春日 こんにちは。フランスのオルレアン大学に留学している福居春日です。 今回は第3回目の投稿となります。12月中旬に前期が終わり、素晴らしいバカンスを過ごし、いよいよ2学期が始まりました。正直、前期はすべてがフランス語で進んでいく毎日にしがみ付くのに必死でした。特にコミュニケーションに苦労しました。日本での私のフランス語学習は机に座っての勉強がほとんどで、会話をしてアウトプットをあまりしてこなかったせいで、前期は伝えるということが難しかったです。学業面では満足できない日々が多かったように思います。一方、私生活ではボランティア活動や一人旅といった様々なことに好奇心の赴くままに挑戦しました。おかげで教科書では分からないリアルなフランスやヨーロッパの一面を見ることが出来ました。現在はスキルアップを目標に奮闘しています。 写真1 写真2 2015年1月1日のパリの空。久しぶりの快晴。 1月初旬、パリである銃撃事件が起こりました。このことは日本でも大きく報じられたと思います。その晩、私は一緒に食事をしていたフランス人の友人から話を聞き、帰宅してすぐニュースで確認しました。フランス現地の記事や日本で報じられている内容にもすべて目を通しました。終始自分の体がとても熱かったことを覚えています。翌日、パリをはじめ私の住むオルレアンの市街地でも今回の件に関するデモ行進が行われていたと知り、多宗教国家フランスが抱える問題をひしひしと感じました。パリでデモが行われる日には市内のメトロが無料となるなど、国と国民が一体となって立ちあがり、声を挙げて主張する光景は、日本で生きてきた私にとって驚愕でした。 フランスは、同性愛者、移民、異なる宗教を持つ人たちといった様々なアイデンティティーを持った人々が共存している国です。だからこそフランス人は議論を好み、自分が自分である意味を見出すのだと思います。フランス社会における個人の尊重は、言語(強調のmoiなど)だけでなく、政教分離など様々な場面で表れており、いかにこの国の人々がこの概念を誇りに思ってきたのかが分かります。フランスは何よりも表現の自由を守ってきたからこそ、今日のフランスの魅力があり、芸術の国だといわれる所以なのでしょう。今回の悲劇は、そんなフランスが守ってきた思想や社会構造を脅かす、非常に衝撃的な事件だと感じました。 写真3 様々な人や観光地が集まる都市、パリ お互いを尊重し合える国を目指しているからこそ生まれる強い連帯感もあれば、一方で大きな摩擦もあります。ただ、排斥ばかり過熱するのではなく、また感情に身を任せるのではなく、一呼吸おいてわずかでも理解しようとする時間を設けることが必要なのではないかと感じた出来事でした。