「私の留学: 新たな一歩」~中村 文哉(マインツ専門大学)

外国語学部2年次生 中村 文哉

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明日の今頃にはもう飛行機に乗ってドイツを飛び立っているだろう。私は留学生活の最終日にこれを書いている。ここ最近、私の留学のことを表すのにふさわしい言葉は何だろうと考えている。「出会い」、「初めて」、「苦労」あるいは「勉強」。どれも何か腑に落ちず、しっくりこない。思い返せばこの半年で数えきれないことを良い意味でも悪い意味でも経験してきた。そのほとんどは、苦労や大変なことばかりで、そういう意味では、「苦労」が最適なのだろうが、その「苦労」でさえ今となってはそれほど印象深いわけではない。 

私は、元来、「逆境」という言葉が好きだ。「逆境」はその人が成長する糧となり、その人を何倍にも「魅力的」にしてくれるからだ。私の留学も思い返せば、「逆境」、すなわち困難なことばかりだった。人生で初めて経験した日本人一人だけの授業、生活。孤独を押し殺してなんとか耐えてきた。授業でもプレゼンテーションやディスカッション、テストなどでなかなか思うようにいかず、悩み、苦しみ、もがきながらも果敢に戦ってきたつもりだ。自分の頭で考え、試して、改善していき、何とか解決してきた。それもすべて留学に行くことを許可してくれて、サポートしてくれている両親や、応援してくれているすべての人たちのために、私は「逆境」に耐え忍んできた。それだけでなく、それらに耐えているうちに現地の学生や先生に褒めてもらったり、点数が上がったりすると、やはり嬉しかったし、それが「逆境」に打ち勝つための力になった。今はまだ自分の英語力に満足していないし、まだまだ成長の途上にあるが、ひたすら耐えて、前に進んで、ひたむきに努力していると、必ず誰かが支ってくれ、その人たちから成長するためのパワーをもらえることをこの留学で学んだ。 

だからこそ私は「苦労」という言葉が、あまり印象に残っていないのかもしれない。たしかに苦労はしたけれど、それもすべて自分のためだと思い、投げ出さずにやってきたからこそ、達成感を感じている。充実した留学だったと今なら胸を張って言える。それらのことを踏まえたうえで、私の留学を表す言葉を一つ選ぶなら、「忍耐力」しかないと思う。「耐える」ということはどの世界でも必ず必要な要素だと思う。神様は乗り越える力を持っている人にしか「壁」や「逆境」を与えない。そして、耐えて、もがきながらも必死に突き進んでいくと、必ず結果はついてくるものである。

確かに初めてのことや、あえて困難なことに挑戦するのは、勇気のいることだろうし、無傷ではいられないだろう。しかし、それらを恐れず果敢に立ち向かうと、たとえ失敗したとしても、自分に返ってくる利益は計り知れないものとなると思う。そしてその喜びや達成感を味わうことなく社会に出るのは非常にもったいないことである。

貴重で、かけがえのない経験を大学生のうちにできた喜びと、私の留学をサポートしてくれたすべての人に感謝と敬意を表し、私の「169日」を終わらせたいと思う。