経営学部 清水ゼミが株式会社SDAT、株式会社ミーティングと産学連携
経営学の学びを商品開発に生かすプロジェクトを3・4年次ゼミで展開
大阪学院大学経営学部経営学科の清水ゼミでは、アルミニウム製品の加工・販売や各種アルミ加工品の製造を手掛ける株式会社SDAT、ブランディングや商品開発などを手掛ける株式会社ミーティングと連携し、アルミ製品を題材とした商品開発プロジェクトに取り組んでいます。
現在の4年生は3年次から継続して参加しており、企業へのヒアリング、商品アイデアの検討、試作品の評価を経て、4年次には顧客価値や利用者像、商品コンセプト、製品仕様を具体化しています。さらに、製造可能性や採算性も含めて商品化の条件を検討し、クラウドファンディングでの展開も視野に入れています。
今年度の3年生も新たにSDATとの取り組みを開始しており、清水ゼミでは、3年次から4年次へと継続する産学連携型の学修を進めています。

3年次は、企業を知るための「聞き方」から
現4年生がプロジェクトを始めた3年次には、まずSDATの事業や技術を理解することから取り組みました。
企業へのヒアリングに先立ち、企業や人物へのインタビュー取材・ライティングを手掛ける株式会社ショートカプチーノの中氏をゲスト講師に迎え、インタビューの準備や質問の組み立て方、相手の回答を受けて問いを深める方法などについて学びました。その後、学生はSDATの事業やアルミ加工技術を調査し、企業へのヒアリングを実施しました。
最初から「何をつくるか」を決めるのではなく、企業が持つ技術や強み、制約を理解したうえで、どのような用途や利用者が考えられるのかを検討していきました。
「機能」ではなく「顧客価値」から考える
4年次春学期には、清水講師による商品開発やマーケティングに関する講義を踏まえ、学生が3年次に生まれたアイデアをあらためて検討しました。
とくに重視したのが、製品の「機能」と「顧客価値」※を区別することです。素材の特性や冷却性能などは製品の機能ですが、それだけでは消費者が購入する理由にはなりません。その機能が「誰にとって」「どのような場面で」「どのような意味を持つのか」を考え、利用者や利用シーンと商品価値の関係を整理。春学期の振り返りでは、「性能が良ければ売れる」と考えていたが、授業を通じて「誰に、どのような価値を提供するか」が重要だと考えるようになった、という学生の記述もみられました。
※顧客価値とは、製品の機能そのものではなく、その製品を利用することで顧客が得る便益や体験を指します。
試作品から商品へー5つの観点で検討
4年次では、試作品として機能することと、市場で販売できる商品として成立することの違いについても扱っています。
授業では、品質・安全性、使いやすさ、製造コストなどを確認したうえで、商品化を考える際の判断軸として「顧客課題」「差別化」「製造性」「採算性」「継続性」の5つを設定しています。誰のどのような課題を解決するのか、既存の商品や方法ではなく選ばれる理由があるのか、継続的に製造できるのか、価格とコストのバランスが取れるのか、その後も商品を発展させられるのかを検討するための枠組みです。
学生の「面白そう」「つくってみたい」という発想を、そのまま商品化するのではなく、経営の視点から検討し直すことを目的としています。
株式会社ミーティングとSDATから実務の視点を得る
こうした枠組みで商品案を検討したうえで、春学期中盤には、ミーティングの三村氏(クリエイティブストラテジスト)と荒尾氏(デザイナー)、SDATの竹山氏、堀田氏らに来学いただき、講義と学生の商品案に対するフィードバックを受けました。
ミーティングによる講義では、カップヌードルなど身近な商品を例に、デザインを外観だけの問題として捉えるのではなく、商品名、パッケージ、素材、使い方、情報の見せ方など、消費者が商品と接するさまざまな要素から考える視点を学びました。また、パッケージには商品を「守る」だけでなく、「伝える」「見せる」という役割があることも取り上げられました。
学生の商品案に対しては、利用者を年齢や職業だけで捉えるのではなく、家族構成、日常の過ごし方、休日の行動、商品の情報をどこから得るのかなどまで具体化するよう助言があり、これを受け、学生はペルソナを見直し、「いつ」「どこで」「誰と」「どのように使うのか」という利用シーンを再検討しました。
一方、SDATからは、形状、性能、安全性、耐久性、加工方法、製造コストなど、製造する立場から助言を受けました。竹山氏、堀田氏には継続的に参加いただき、回によっては南工場長からも製造現場の視点で意見をいただいています。その後の授業では、両社からのフィードバックを踏まえ、ペルソナ、利用シーン、顧客価値、商品仕様を改めて整理し、学生が検討できる事項と、技術的な確認が必要な事項を分けて考えました。

クラウドファンディングを市場との接点として考える
こうした商品コンセプトの再検討を経て、春学期後半には、ミーティングが商品化に関わった「TOBAN」のクラウドファンディング事例を教材として取り上げました。
学生は、ページに記載された内容だけでなく、最初に商品の価値を示し、その後に利用者の課題、商品の特徴や使い方、開発の背景、仕様や注意事項へと情報が配置されている点に着目。そのうえで、自分たちの商品であれば、何を最初に伝えるのか、どのような情報があれば支援者の不安を減らせるのかを検討し、クラウドファンディングページの構成案を作成しました。
また、クラウドファンディングを資金調達だけではなく、市場から反応を得て、その後のメディア発信や販売につなげる機会として位置づけています。

商品化に向けて
秋学期は、春学期に整理した顧客価値、ペルソナ、利用シーン、商品コンセプトをもとに、商品として成立する条件をさらに確認し、試作と商品化に向けた検討を進めています。
一方、今年度の3年生もSDATとの新たなプロジェクトを開始しており、企業や技術への理解から、利用者や用途を考える段階へと進んでいます。
清水ゼミでは、授業で学んだ概念を実際の商品開発に適用し、企業から得たフィードバックを再び授業に持ち帰って考えることを重視し、大学での学修、SDATの技術的知見、ミーティングの商品開発・デザインの知見を往復しながら、商品化とクラウドファンディングでの展開を目指しています。