ブライダル産業におけるマネジメント人材養成プログラムの開発
1.はじめに
ブライダル産業は、比較的新しい領域である。これまで、他の産業で一定のキャリアを積んだ人材に依存する傾向にあった日本のブライダル産業においても、ウェディング・プランナー等のスペシャリストの人材養成については、個別企業、あるいはブライダル産業全体において、人材養成の仕組みが構築されつつあるように感じられる。
一方、スペシャリストとしてのみならず、組織のマネジメントを担う人材の養成に関する取り組みについては、まだ緒に就いたばかりである。ホテルにおけるマネジメント人材養成については、既に、アメリカのホテル産業、あるいは、アメリカのホテル経営系学部において、モデルとなるプログラムが開発されているのであるが、ブライダル産業におけるマネジメント人材養成に関するプログラムを開発しようとする大きな動きは、アメリカにおいて確認することはできない。
本研究は、ウェディング・プランナー等のスペシャリストとしてのみならず、マネジメントを担うことができる能力を習得した、ブライダル産業における高度専門職業人養成のためのプログラムの開発を行うことを目的としている。それを実行するために、「ブライダル産業におけるマネジメント人材養成プログラム開発プロジェクト」を2011年に設置すると共に、モデルとなるプログラムの開発に取り組んできたのである。
2.ブライダル産業におけるマネジメント人材養成プログラム開発プロジェクトの概要
前述したように、「ブライダル産業におけるマネジメント人材養成プログラム開発プロジェクト」とは、ウェディング・プランナー等のスペシャリストとしてのみならず、マネジメントを担うことができる能力を習得した、ブライダル産業における高度専門職業人養成のためのプログラムの開発を行うプロジェクトである。
「ブライダル産業におけるマネジメント人材」とは、結婚式場業における経営管理者および運営管理者、ならびに宿泊業、飲食サービス業のブライダル部門における経営管理者および運営管理者と定義する。
「対象とする結婚式場業ならびに宿泊業、飲食サービス業の規模」については、中規模以上とする。
「プログラムの開設を想定する教育機関」については、大学の経営系学部におけるブライダル関連学科とする。
3.ブライダル産業におけるマネジメント人材養成プログラム案
「ブライダル産業におけるマネジメント人材」の役割ならびに職務、その役割ならびに職務を担うために必要となる能力、その必要となる能力を習得するための教育プログラム等について検討し、2013年6月2日現在、以下のようなプログラム案が提示されている。
表1 ブライダル産業におけるマネジメント人材養成プログラム案(2013年6月2日現在)
- 基礎
-
<1回生>
- ①結婚・結婚式(1-1-1 全体初級1・前期)
- ②ブライダル産業(1-1-2 全体初級1・後期)
- ③コミュニケーション(1-1-3 全体初級2・前期)
- ④デザイン(1-1-4 全体初級2・後期)
- ⑤イベント・プロデュース(1-2-1 サービス/マネジメント初級1・前期)
- ⑥経営Ⅰ(経営の基礎)(1-3-1 サービス/マネジメント初級1・後期)
- サービス
-
<2回生>
- ①料理・飲料(2-2-1 サービス中級1・前期)
- ②料理・飲料のサービス(2-2-2 サービス中級1・後期)
- ③メイク・衣装・ジュエリー(2-2-3 サービス中級2・前期)
- ④装花・装飾(2-2-4 サービス中級2・後期)
- ⑤写真・映像・音響・照明(2-2-5 サービス中級3・前期)
- ⑥印刷物・引出物(2-2-6 サービス中級3・後期)
- ⑦経営Ⅱ(基本的な経営のフレーム1)(2-3-1 マネジメント中級1・前期)
- ⑧経営Ⅲ(基本的な経営のフレーム2)(2-3-2 マネジメント中級1・後期) <3回生>
- ⑨進行・演出・コーディネート(3-2-7 サービス上級1・前期)
- ⑩サービス実務研修(企業実習)(3-2-8 サービス上級2・後期)
- マネージメント
-
<3回生>
- ①経営Ⅳ(経営の実務1)(3-3-1 マネジメント上級1・前期)
- ②経営Ⅴ(経営の実務2)(3-3-2 マネジメント上級1・後期)
- ③リーダーシップ(3-3-3 マネジメント上級2・前期)
- ④労務(3-3-4 マネジメント上級2・後期)
- ⑤マーケティング(3-3-5 マネジメント上級3・前期)
- ⑥メディア・ネットワーク(3-3-6 マネジメント上級3・後期)
- ⑦財務(3-3-7 マネジメント上級4・前期)
- ⑧施設・不動産・法律(3-3-8 マネジメント上級4・後期) <4回生>
- ⑨マネジメント実務研修Ⅰ(4-3-9 まとめ・前期)
- ⑩マネジメント実務研修Ⅱ(4-3-10 まとめ・後期)
4.おわりに
ブライダル産業におけるマネジメント人材養成プログラムの開発は、モデルとなるプログラムを一つ作り上げたら終わりではない。「ブライダル産業におけるマネジメント人材」の役割ならびに職務、その役割ならびに職務を担うために必要となる能力については、社会構造の変化、顧客ニーズの高度化、あるいは、情報技術の進化等によって、大きく変わる可能性がある。
教育の方法についても精度を高めていく必要がある。担当講師の話を聞くだけの授業ではなく、受講者が自分で考えたり、グループにおいて議論をしたりするような授業を組み合わせることが有効であるかもしれない。また、各科目の授業に適合した教材等を開発することも重要である。
ブライダル産業と教育機関の連携が円滑に進むかどうかといった課題も解決していかなければならないであろう。先ずは、一部の企業と教育機関が先行して、マネジメント人材養成における産学連携のモデルを作ることから始めるのも有効なのではないだろうか。