研究者コラム

地域活性化ブライダル

大阪学院大学 非常勤講師
(株)aim 代表 米谷侑子

 今回はブライダル教育についての業界動向をレポートする。

 ブライダル業界に関わらず、バブル崩壊後、企業における社員教育に掛ける費用が減少している。特にホテル業界では、研修会社に依頼をして、外部の講師による研修を実施することが減少している。外部から研修講師を招いても、結局押し付けと感じられる事をしてまで、会社は社員を教育(教え育む)しなくなっている。一般企業においてもその傾向がある。ところが、ブライダル業界においては、人材育成に対して多少なりと費用を出そうとする傾向がみられる。

 ブライダル企業では、専門学校を卒業してすぐに採用し、担当を持たせる企業と、ベテランの40歳前後のスタッフで対応している企業に2極化している。それというのも、婚礼業務の仕事は、勤務時間が長く、体力的にきつい。またノルマが課せられ、業績と業界の行き先が不透明である。女性が多い職場でありながら、管理職や経営陣に男性が多いといったネガティブな部分があるからである。(「ウェディングシンポジュウム2013」資料情報サイト キャリアガーデン「ウェディングプランナーの仕事」より引用)

 また、実際仕事についてみて3年ほどすると、結婚や、きつい仕事から抜け出したいがために一旦他のこともしてみたいといった希望がでてくることも否めない。結婚をすると夫側の都合を優先し、転勤があると妻側の仕事は辞めざるをえない、また子育てをしながら務めるには時間帯があまりにも不定期であることを鑑みると、これからキャリアを積んだコーディネーターの女性が少なくなっている。

 正に、ブライダル業界にもキャリアコンサルティングが必要になっている。
 現在日本でのブライダルコーディネーターと言えば、フェア―にいらした新規のお客さまを獲得する営業と、決定したお客さまと当日の結婚式と披露宴に向けて付帯サービス部門との打合せの調整をすることが主である。  

 勿論、今後の自社でのブライダルの商品開発も仕事の範囲となっている。常にお客さまと接しているコーディネーターがお客さまの描くイメージや想いを汲み取っているものであり、付帯サービス部門の担当者にきちんとそれを伝えていくことが仕事である。しかし、自分の想いを相手に伝えることは大変難しいものである、新郎新婦との年齢差がある現世代のコーディネーターには負担が大きい、付帯サービスの担当者がベテランであればカバーができるのであろうが、残念ながら付帯サービスの担当者も経験不足で、コミュニケーション能力が低ければ、結果、新郎新婦の思い描いたイメージや想いを汲み取ることができないままに打合せは当日へと進んでいく。

 また、当日を迎え披露宴に出席をする方々は未だ60歳代の方々多い。職場関係の上司を呼ぶことも少なくなったといえども、親戚を呼ぶとなると新郎新婦がお越しになる方々一人一人の想いをくんだおもてなしある披露宴にすることは大変困難なことだ。本来、コーディネーターは単にお客さまの想いを形にするのみではなく、婚礼のアドバイザーでもあることが望ましい。新郎新婦がゲストをおもてなしする事をサポートすることが仕事である。しかし、実際にはアドバイザーとしての学習やコミュニケーション能力を身につける事ができていないのが現状である。上から目線ではなく、受容するアドバイザーとしてのコミュニケーション能力が必要である。ブライダルの商品は、付帯サービスの部分では現物を見て購入いただけるものもあるが、結婚式や披露宴はゲストがいらして、全て注文したものが揃って初めて一つの商品となる。故に、額は違うが生命保険や住宅を建てるときの打合せと同じようなところがある。ブライダルコーディネーターの個の能力をより魅力的に向上させることが、これからのブライダル産業の発展になるのではと考える。最近では、ゼロ婚という資金が全くなくとも(ほぼあり得ない話であるが)婚礼ができるといったブライダル企画会社も出てきている。そこでは、当日までの資金の貯蓄準備方法や、祝儀を見込んでの婚礼額の計算等ファイナンシャルプランの能力もコーディネーターには必要になってきている。人気の職種であるブライダルコーディネーター(プランナー)の今後の教育を改めて考えていくことが必要になっている。

 仕事継続のモチベーションは、教育にあると考える。ハウスウェディングやホテルのブライダル担当スタッフを観ると、婚礼の歴史や、婚礼とは何であるかといった想いを語る上司や先輩が少なく、語る時間がないので伝えないといったことを見受けられる。ブライダル(婚礼)に関わる仕事の本質を語る先輩や上司が少なくなっている。また、流行や営利ばかりを追ってしまうブライダル企業では、やりがいが半減してしまう。

 業務を理解し、任せることができるスタッフになったと思ったとたんに辞めてしまう、また新人スタッフを募集し、業務内容を一から伝えることになる。キャリアアップできる環境でない。

 ブライダル業界に限らず、現在は若年層において、コミュニケーション不足、コミュニケーション能力の低下が企業内においても大きな問題になっている。ここ数年、業界誌でもスタッフ育成のページが多くはなっている。

 ブライダルの仕事は、日本の伝統や他国の文化に触れる仕事である。よって、一般常識は勿論のこと、儀式や儀礼をもっと学ぶことをする必要があると思う。そうすることにより、より地域に密着した婚礼サービスを考えていくことができる、婚礼の本質を受け継いでいくことができるのではと考えている。

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